研究会 (2024 年 04 月 01 日)

SICE 九州支部 制御理論と応用に関する研究会 共催
日時: 4/01(月) 16:00〜17:45  (開場 15:30)

場所: アクロス福岡 601 会議室


講演1: フィードバック制御系の位相特性
    (原辰次, 東京大学名誉教授; 16:00〜16:45)

講演2: 外乱オブザーバのロバスト性について
    (鹿田佳那, 九州工業大学瀬部研D3, 17:00〜17:45)
                    (以上敬称略, 学年は研究会当日基準)

懇親会: 18:00〜 博多中洲 旬菜万葉

参加予定者: 原(東大), 永原(広島大), 西村(鹿児島大), 佐藤(熊本大),
      川田(北九高専), 松井(福工大), 畑田(福大), 和田, 蛯原(以上九大),
      延山, 古賀, 伊藤, 福井, 瀬部(九工大), 鹿田(九工大学生)

                        (以上敬称略)

問合せ先: 瀬部昇 (sebe[a]ics.kyutech.ac.jp)

概要
1. フィードバック制御系の解析および設計において周波数特性(ゲイン特性・位相特性)
   は重要な役割を果たしている。典型的な例は、スモールゲイン定理や受動定理である。
   特に、ゲイン特性は周波数重みを付加することにより、ロバスト制御系の解析・設計
   において中心的な役割を果たしてきた。一方、位相特性はその取扱いの難しさもあり、
   あまり注目されてこなかったが、低周波数帯域での位相特性は制御性能に関してより
   重要な意味を持つ。
   そこで本講演では、「位相特性」に焦点を当てた2つのトピックスを紹介する。一つ
   目は、制御しやすいプラントの特徴づけとして「Condition Pi(低周波数帯域での
   Negative Imaginary 特性+高周波数帯域での Small Gain 特性)」に注目する。具体
   的には、Hinf Loop Shaping Design Procedure を通して、Condition Pi を満たす低
   次プラントは制御しやすい(望ましい制御性能が達成できる)ことを示す。また、高
   次系に対する Conjecture を提示する。二つ目は、ロバスト不安定性解析と深く関係
   する「Phase Change Rate Maximization」で、非常に新しい問題である。その動機と
   最新の結果を簡単に紹介する。最後に、制御理論の実応用に対する貢献について、こ
   れらの研究を通して得られた私見を述べる。 

2. 制御系設計におけるモデル化誤差などによる制御対象の不確かさは,サーボ系の応答
   にばらつきをもたらす.この応答のばらつきを抑制するロバスト制御を実現する方法
   の1つとして,外乱オブザーバが挙げられる.
   一般によく用いられている2自由度PID制御系では,まず主にロバスト性を考慮して
   1自由度 PID 制御系や I-PD 制御系を構成し,後にプレフィルタを用いて速応性を
   改善するという構成法が主流となっている.この方法ではI型サーボ系と同等の感度
   特性しか実現できない.一方外乱オブザーバを用いると,I型サーボ系でありながら,
   II型サーボ系と同等の感度特性を実現し,ロバスト性能を向上した2自由度制御系を
   構成することができる.この良好な特性を状態空間表現で解析した結果を示す.
   また,モデル誤差抑制補償器との関係を解析した結果を示す.外乱オブザーバの効果
   は誤差補償器内の積分器を含んだマイナーループ構造によるため,完全に正確な公称
   モデルを用いなくても効果を得ることができる.さらに,公称モデルに対してオブザー
   バゲインによるフィードバック構造を持つため公称モデルの時定数よりも状態推定の
   推定速度を修正できるという良好な特徴をもつ.


Last modified: Thu Mar 28 18:29:37 JST 2024