研究会 (2005 年 09 月 30 日)


日時: 09/30(金) 14:00〜18:00

場所: 九州工業大学天神サテライトキャンパス Kyutech プラザ
http://www.ims.co.jp/shop/shop/11_04.html
http://www.kyutech.ac.jp/plaza/
講演: 1. 線形行列不等式を用いた制御系の解析と設計
         (京都大学 蛯原義雄, 14:00〜15:45)
      2. スムーズな入力信号を生成できるモデル規範型適応制御手法
         (九州工業大学 大屋勝敬, 16:00〜17:45)
懇親会: あらんどろん (18:00〜, 福岡市中央区天神 2-14-38-2F, tel: 092-781-1737)
参加者: 蛯原(京大), 上(明石高専),佐伯, 増淵(以上広島大),
            佐藤(佐賀大), 和田, 川邊, 金江, 向井(以上九大),
            延山, 大屋, 伊藤, 市原, 瀬部(以上九工大)

講演概要:

   1. 本講演では,線形行列不等式(LMI)を用いた制御系の解析と設計に関し,
     講演者らによるいくつかの研究結果を報告する.
       講演の前半部では,伸張型と呼ばれる LMI を用いた
     不確かな実パラメータ変動を有する制御系のロバスト性能解析,
     および多目的制御系設計に関する結果を報告し,
     伸張型行列不等式の有効性を示すと同時に,
     残された数多くの研究課題についてまとめる.
       講演の後半部では,LMI を用いた H-infinity モデル低次元化に関する
     研究結果を報告する.この問題は一般に非凸な最適化問題と
     考えられるため,LMI に関連した既存研究では
     局所最適解を求めるための効率の良いアルゴリズムを LMI に基づいて
     求めることを目的としたものが多い.
     本研究ではこれらとは異なる視点に立ち,LMI を扱う上で整備
     されてきた行列計算に関する種々の結果を適用することで,
     (数値計算によらない)解析的な結果を導出することを試みる.
     実際に,良く知られた低次元化の際の誤差系の H-infinity ノルムの
     下界値が,LMI に関連した行列計算により平易な手順で導かれることを
     示す.さらにこの解析結果に基づくことで,低次元化の次数が
     ある特定の次数の場合には,低次元化問題が実は凸最適化問題となり,
     LMI 最適化によって最適な低次元化モデルを構築できることを示す.

  2. スムーズな入力信号を生成できるモデル規範型適応制御手法
     モデル規範型適応制御系に対する数値シミュレーション
    を行ったとき,対象出力と規範モデルの出力との出力誤差
    や入力信号に大きな振動が発生するのを経験することがあ
    る.この問題を解決するため,近年,適応制御の制御性能
    の改善に注目が集まり,種々の手法が開発された.しかし
    ながら,どの手法においても,出力誤差の収束性能は議論
    されているが,制御入力の過渡応答の議論はなされていな
    い.
     本報告では,制御入力に無意味な振動現象が発生しにく
    く,かつ,出力誤差が指定された収束速度で指数的に零に
    収束する適応コントローラの設計法を提案する.すなわち,
    初期値が零の場合に制御対象出力が規範モデル出力に完全
    一致するために必要な入力と初期値によって決まるなめら
    かな指数減衰関数との合成信号に制御入力を素早く追従さ
    せるこができる手法を提案する.そして,制御入力が合成
    信号に素早く追従したとき,出力誤差 e(t) が指定された
    行列A をもつシステム d x(t)/ d t=A x(t), e(t)=cx(t) 
    の解軌道に沿って零に収束することを示す.

Last modified: Thu Oct 13 17:43:13 JST 2005