研究会 (2005 年 12 月 06 日)


日時: 12/06(火) 14:00〜18:00

場所: 九州工業大学天神サテライトキャンパス Kyutech プラザ
http://www.ims.co.jp/shop/shop/11_04.html
http://www.kyutech.ac.jp/plaza/
講演: 1. アレー信号処理におけるロバスト性、適応性および実装可能性
         (慶應義塾大学 佐野昭, 14:00〜16:30)
      2. 漸近安定性を保証したニューラルネット制御と手術における投薬制御への応用
         (JST, 東大 早川朋久, 16:45〜18:00)
懇親会: あらんどろん (18:00〜, 福岡市中央区天神 2-14-38-2F, tel: 092-781-1737)
参加者: 佐野(慶應大), 早川(JST, 東大), 和田, 川邊, 向井(以上九大),
        延山, 大屋, 伊藤, 市原, 瀬部(以上九工大)

講演概要:
   1.   次世代移動通信はMIMOシステムとなり、アレーアンテナや複数アンテナ
      を用いた信号処理が不可欠とされているが、これらの信号処理は、システム
      同定、ロバスト設計、適応システムなど制御理論と深い関わりをもっている。
      講演では、まずアレーアンテナにおける信号処理で何かが要求され何ができ
      るのかを、最近の実験結果を通してその背景について述べる。次に、アレー
      信号処理に求められる課題としてロバスト性を取り上げる。複数のアレーセ
      ンサーの個体差や相互干渉に対してロバストな信号処理法の現状と、較正信
      号を必要としない新しい自動較正アルゴリズムについて述べる。次に信号到
      来方向(AOA)推定やビーム形成を高速に行うための内部モデル原理にもとづい
      た適応アルゴリズムについて述べ、具体例を通してその有効性を検証する。
      最後に実装のための計算の簡略化やセンサー数の低減化について触れる。マル
      チパスなどで相関をもつ複数の信号のAOAを推定するにはかなり複雑な計算を
      必要とするが、今回はPropagatorを利用した雑音部分空間の生成と線形予測
      (FBLP)からなる線形演算のみでAOAを推定する方法と、QR分解を利用した信号
      部分空間の次元判定法について述べる。特異値分解などを利用しないため計
      算量はMUSICをベースとした方法の約1〜2割程度になっている。最後に2つ
      の直線アレーのみを用いて2次元平面アレーと同様な性能を簡単に実現する
      ための新しいアルゴリズムを与える。以上、最近のアレー信号処理において
      制御理論との関連性にできるだけ焦点を当ててお話ができればと思っています。

   2. ニューラルネットワークを用いた適応制御は、ニューラルネット
      ワークが universal approximator であることが証明された1990年前後から特に
      活発に研究が行われている。現在は応用の分野でもニューラルネットワークは様
      々な非線形システムに適用され、実用面でも大きな成果を挙げている。しかし、
      実用上成功を収めているシステムでも、システムの安定性の理論的特徴づけは
      ultimate boundedness に帰着してしまい、厳密な安定性の議論は皆無に等し
      い。本講演では、ニューラルネットワークによるシステムの不確かさの近似を従
      来とは異なる視点で評価することによって、閉ループ系の厳密な安定性が証明で
      きることを示す。また、ニューラルネットワークを用いた適応制御の枠組みの医
      療への応用例を紹介する。

Last modified: Wed Dec 7 07:20:02 JST 2005