研究会 (2006 年 03 月 14 日)

SICE 九州支部 制御理論と応用に関する研究会 共催
日時: 03/14(火) 14:00〜18:00

場所: 九州工業大学天神サテライトキャンパス Kyutech プラザ
http://www.ims.co.jp/shop/shop/11_04.html
http://www.kyutech.ac.jp/plaza/
講演: 1. 国際規格 IEC 61508
         --- 制御+安全性⇒制御則の確率的安全性評価・管理 ---
         (東京海洋大学 陶山貢市, 14:00〜15:45)
      2. 精度保証付き計算を用いた制御系解析・設計
         (JST/東京大学 管野政明, 16:00〜17:45)
懇親会: あらんどろん (18:00〜, 福岡市中央区天神 2-14-38-2F, tel: 092-781-1737)
参加者: 陶山(東京海洋大), 管野(JST/東大), 穴井(富士通),
        木村(立教大), 北本(山口大), 上(明石高専),
        延山, 大屋, 古賀, 伊藤, 市原, 瀬部(以上九工大)

講演概要:
1. 電気/電子/プログラマブル電子安全関連系(いわゆる安全装置)に関する国際規格IEC
   61508は,その適用範囲がきわめて広範に及び,欧米を中心にすでに認証が行われて
   いる.その重要性は今後飛躍的に増大すると考えられる.
   一方,制御の分野では,センサやアクチュエータなどに故障の発生を想定した上で制
   御則を設計するreliable control (fault tolerant control)が1980年代からさまざ
   まな形で研究されてきた.安全性との接点・関わりをさらに強く意識し,reliable
   controlを制御則の確率的安全性評価・管理というより大きな枠組みの中で,IEC
   61508 を媒介にした制御と安全性のコラボレーションとしての視点で体系化すべき時
   期に来ている.
   ここでは,IEC 61508や関連する国際規格の策定・改定に少なからず関与する立場か
   ら,安全性(および信頼性)の最新の動向をはじめ,IEC 61508と制御の接点,このコ
   ラボレーションの中核である制御則によるリスク軽減,及びその定量的な評価・管理
   について説明する.

2. 現代の計算機の誕生以来、幅広い応用分野において計算機を用いた数値計算が
   行なわれてきた。数値計算のために計算機が使われるようになってほどなく、
   数値解析と呼ばれる数学の分野が出現し、さまざまな数値アルゴリズムの精度
   評価や、高速・高精度アルゴリズムの開発が行なわれてきた。計算機の能力の
   絶え間ない向上とあいまって、以前では想像もつかなかったほどの大規模な数
   値計算が計算機を用いて行なえるようになっている。一方、計算機科学の分野
   において、計算機の向上した能力をより大きな問題を解くために使うのではな
   く、厳密な精度解析のために用いようとする動きも現れた。すなわち、解析的
   手法や区間解析と呼ばれる数学の分野の結果を基にした、精度保証付き計算と
   いうものが精力的に研究され、確立された。しかしながら、制御の分野では、
   『精度保証』という言葉は聞くものの、精度保証付き計算という概念を積極的
   に取り入れた研究は少ない。本講演では、制御の分野における精度保証付き計
   算の重要性・有効性を議論し、精度保証付き計算の基礎となるアルゴリズムの
   紹介を行ない、そのようなアルゴリズムを用いて構築された制御系解析・設計
   問題に対する精度保証付き計算アルゴリズムについて説明する。最後に、今後
   の展望についても言及する。

Last modified: Tue Dec 5 10:28:06 JST 2006