研究会 (2007 年 04 月 19 日)

SICE 九州支部 制御理論と応用に関する研究委員会 共催
日時: 4/19(木) 14:00〜18:00

場所: 九州工業大学天神サテライトキャンパス kyutech プラザ
http://www.ims.co.jp/shop/shop/11_04.html
http://www.kyutech.ac.jp/plaza/
講演: 1. 多項式の非負性チェックに対する Sums-Of-Squares と Slack Variable の比較 について
       (JAXA 佐藤昌之, 14:00〜17:00)
    2. 反復計算による制御系設計のための伸張型 LMI
       (九州工業大学 瀬部昇, 17:00〜18:00)
懇親会: 18:30〜
    波乗り三太 (福岡市中央区大名 2-1-5 SGビル 4F)
          (tel: 092-714-1020; マップナビ)
参加者: 佐藤(JAXA), 松尾(大分大), 佐藤(佐賀大),
    和田, 金江, 向井(以上九大), 延山, 伊藤, 瀬部(以上九工大)
                          (以上敬称略)

講演概要:

1. 与えられた多項式が非負であるかどうかをチェックする方法の一つとして,その多項式を
なんらかの多項式の平方の和 (Sums-Of-Squares) に変形できるかどうかによって判別する
方法が古くから知られている.しかし,「すべての非負多項式が SOS 分解を有するか」と
いう問いは,古くは Hilbert の第17番目の問題として知られるなど必ずしも自明ではな
かった.この問題に対しては,すでに否定的な解が得られており,例えば,Motzkin form
といった具体例が示されている.しかし,最近,Lasserre らによって,すべての非負多項
式は微小な SOS 摂動を加えることで SOS となることが示されていること,SOS 分解は
Semi-Definite Programming によって数値的に解くことができることから,「すべての非負
多項式は近似的な SOS 分解を有する」と言えよう.なお,SOS はハイブリッドシステムの
解析,軌道最適化問題,ロバスト安定性解析など,様々な分野に応用されており,今後も
有効なツールの一つであろう.
一方,ロバスト安定性解析の一手法として「extended LMI」もしくは「dilated LMI」と
呼ばれるアプローチの有効性がここ数年で示されている.この手法は,元々の条件式に
冗長な変数 (Slack Variable) を加えた緩和条件を導き出す手法である.この方法を与え
られた多項式の非負性チェックに適用することは可能であるが,先の SOS と比較した場合
に,どちらがより正確な解析が行えるのか不明であった.
この問いに対して,発表者が得た以下の答を紹介する.
・変数の存在領域が有界である場合:SOS は SV の一部である
・変数の存在領域が有限でない場合:SOS と SV は等価である
最後に,SOS と等価な SV アプローチによるロバスト安定解析・性能解析の結果を紹介する.

2. 非共通の Lyapunov 関数を許容する伸張補題は, ロバスト制御系の解析・設計,
多目的制御系設計において大きな進展をもたらした. 一方, 多目的制御に対して,
繰り返し設計による性能向上も多く試みられてきた. 
本発表では, 伸張型 LMI による非共通 Lyapunov 関数による保守性の低減と,
繰り返し設計による性能向上の両方を併せ持つ設計法を提案する. 具体的には,
ディスクリプタシステムのシステム自体の表現の自由度を利用し, 繰り返し設計に
よる多目的状態フィードバック設計に有効な新たな伸張型 LMI 条件を提案する.
そして提案する伸張型 LMI 条件に基づく繰り返し設計法を提案し, その有効性を
数値例を通して示す.


Last modified: Fri Apr 20 17:18:18 JST 2007