研究会 (2010 年 01 月 08 日)

SICE 九州支部 制御理論と応用に関する研究会 共催
日時: 01/08(金) 13:00〜18:00

場所: 九州工業大学天神サテライトキャンパス kyutech プラザ
http://www.ims.co.jp/shop/shop/11_04.html
http://www.kyutech.ac.jp/plaza/

講演1: 切り換えシステムの入出力ゲイン解析
      (平田研二, 長岡技術科学大学; 13:00〜14:30)

講演2: 非線形離散時間システムの一様可制御性・一様可観測性とモデル予測制御
      (半場滋, 琉球大学; 14:40〜16:10)

講演3: 線形周期システムの正準分解に関して
      (軸屋一郎, 名古屋大学; 16:20〜17:50)
懇親会: 18:30〜
    波乗り三太 (福岡市中央区大名 2-1-5 SGビル 4F)
          (tel: 092-714-1020; マップナビ)
    会費 6,000円
参加者: 平田(長岡技科大), 半場(琉球大), 軸屋(名大),
        佐伯(広島大), 佐藤(佐賀大), 國松, 岡島(熊本大),
        向井(九大), 冨田,大田,渋谷(安川電機),
        延山, 大屋, 伊藤, 瀬部(九工大)

                                                (以上敬称略)

概要

1. 連続・離散の動特性が混在するハイブリッドシステムが、近年大きく注目され
   ている。切り換えシステムは、ハイブリッドシステムを表現する代表的な数理
   モデルの一つである。また入出力ゲインは、システム制御理論を展開するうえ
   での重要なツールとなっている。本報告では、切り換えシステムの入出力ゲイ
   ンを、保守性のない完全な形で特徴付けることを試みる。とくに本研究会では、
   耐故障性を有する制御系、適応制御などの観点から、切り換えシステムのゲイ
   ン解析に対する各参加者からの批評をうかがいたい。

2. 非線形システム理論における多くのアプローチが解(制御器)の構成
   に関する一定の困難を抱える中で, モデル予測制御は, 理論から具
   体的な制御則が直ちに導かれるという顕著な利点を持っている. か
   つて非線形モデル予測制御の泣き所であった安定性の問題は2000年
   前後に解決され, 現在はロバスト性に関する研究が活発におこなわ
   れている. しかしながら, 既存の研究の多くは, 制御系設計のため
   に必要な条件を多数積み上げ, それらがすべて成り立つと仮定した
   上で設計法を与える, という方針でなされており, どのような条件
   が制御系設計のために本質的に重要かという点にはあまり関心が払
   われない傾向がある. 
   本発表では, 非線形離散時間システムにおいて, いかなる条件のも
   とで状態フィードバック型および出力フィードバック型のモデル予
   測制御が可能か, という理論的な問題を検討する. 状態フィードバッ
   ク型の非線形モデル予測制御系が構成可能であるためには事前に指
   定されたhorizon がつねに有効である(一様可制御である)ことが必
   要なのだが, 本発表では, まず, システムの初期状態集合がコンパ
   クトであるときには, 一様可制御性は可制御性と等価であることを
   示す. 一方, 出力フィードバック型のモデル予測制御が構成可能で
   あるためには観測信号に関する事前に指定されたhorizon がつねに
   有効である(一様可観測である)ことが必要なのだが, 本発表では, 
   上記と双対的に, システムの初期状態集合および許容入力集合がコ
   ンパクトであるときには, 一様可観測性は可観測性と等価であるこ
   とを示す(ただし証明は双対ではない). さらに, 可制御性 (および
   可観測性) を仮定した上で, 外乱に対する一定のロバスト性を有す
   る非線形モデル予測制御系の設計法を提案する. 

3. Kalman正準分解の定理は,線形時不変システムに対する結果が
   よく知られており,多くの標準的な教科書に記載されるように
   システム理論における最も基本的な事実の一つである.
   歴史的には,1960年代に,Kalmanらにより線形時変システムに
   対する正準分解の存在と線形時不変システムに対する正準分解
   の存在が示された.さらに,1980年代に,Bittantiらにより線
   形周期システムに対する正準分解の存在が示された.
   これらの結果は,正準分解を構成するための座標変換行列の範囲
   に違いがあり,いずれかから他が導けるわけではない.
   ところが,Bittantiらは線形時変システムの結果から線形周期
   システムの結果が得られることを主張していた.
   本発表では,線形周期システムを実係数をもつものに限定した
   時に,Bittantiらの主張には反例が存在することを示し,さら
   に正準分解が存在するための条件を紹介する.
   なお,本発表の成果は宮崎大学の穂高一条先生との共同研究
   により得られたものである.


Last modified: Tue Jan 12 04:52:25 JST 2010