会費 5,000円
参加者: 佐藤(広島大), 甲斐, 向井(以上九大), 西村(山口大), 岡島(熊大),
佐藤(佐賀大), 冨田(安川電機), 加藤(福工大),
延山, 古賀, 伊藤, 瀬部(以上九工大)
(以上敬称略)
概要
1. 力学システムを制御する際には,連続時間の非線形微分方程式でモデリングを
行い,離散化のプロセスを通して計算機上で実装することが多い.しかし,そ
の離散化の影響で元のシステムの特性が失われたり,また数値誤差の発生など
によって,制御時におけるパフォーマンスが低下する可能性がある.したがっ
て,高精度のパフォーマンスを実現する制御系設計を行うためには,計算機と
の親和性の高い離散化手法が必要不可欠であり,「離散構造を考慮した非線形
制御」というものが重要であるといえる.
本発表では,非線形力学システムに対するいくつかの離散化手法・数値解法に
ついて解説する.特に,近年提案された新しい離散化手法である「離散時間力
学 (discrete mechanics)」に重点を置き,その基礎概念や特徴について詳し
く説明を行う.さらに発表者が現在進めている制御工学との関連研究をいくつ
か紹介する.
2. 近年,制御対象を非線形システム全般ではなく,応用上重要な物理システムに
限定することで,このシステムが持つ特徴を陽に生かした制御手法が盛んに研
究されている.本発表では,確定システムにおいて得られている多くの知見を,
不規則外乱が介入する動的システムである確率システムに対して拡張する.
具体的にはハミルトン力学系を,伊藤型確率微分方程式で記述される,制御入
力と摩擦項を考慮した確率ハミルトン系へと拡張し,この系が持ついくつかの
性質に着目した確率制御手法について述べる.はじめに,確定システムの受動
性に対応する確率受動性と,フィードバック変換に対する不変性に関する条件
を導出し,これらを用いた確率安定化手法を提案する.つぎに,確率ハミルト
ン系に付随する変分系と随伴系とを結びつけるある種の対称性を明らかにし,
この性質を利用した確率力学系の学習制御手法への展開について述べる.
Last modified: Sun Nov 21 07:49:12 JST 2010