研究会 (2013 年 06 月 22 日)

SICE 九州支部 制御理論と応用に関する研究会 共催
日時: 06/22(土) 13:00〜17:00

場所: 九州工業大学サテライト福岡天神
   (福岡市中央区天神1-7-11 天神イムズ11F)
   http://www.ims.co.jp/hall/detail/?shopNo=041
   http://www.kyutech.ac.jp/facilities/satellite-campus/

講演1: 原子間力顕微鏡の高速化を実現するステージ制御系の検討
    (中茎隆, 九州工業大学; 13:00〜14:45)

講演2: 周期運動に対するエネルギー効率に優れたパワーアシスト制御
    (畑田和良, 福岡大学; 15:00〜16:45)

懇親会: うまい肉家 博多八百萬 (17:00〜)
    福岡市中央区天神1-7-11 天神イムズ13F
    tel: 050-5797-3748

参加者: 畑田(福大), 西村(鹿児島大), 國松(熊本大), 佐藤(佐賀大)
    中茎, 大屋, 伊藤, 瀬部(以上九工大)
                            (以上敬称略)


概要

1. 原子間力顕微鏡はナノオーダーの空間分解能を持つ走査型プローブ顕微鏡の一種であ
   る。その測定原理は、カンチレバー(プローブ)が試料と接触することで生じる微小
   なたわみを光てこ法で検出する点にあり、試料の導電性は不問であるだけでなく大気
   中や液中での測定が可能である。このような優れた特徴は、生体試料の測定において
   威力を発揮し、例えば、数ナノメートルの大きさのタンパク質のイメージング、生き
   た細胞の表面形状測定などで利用されている。
   しかし、原子間力顕微鏡の測定には分オーダーの時間を要するため、時間分解能は高
   くない。この理由の一つとして、カンチレバーと試料との接触力やたわみ量を一定に
   制御するためのステージ制御系の応答時間が挙げられ、市販の原子間力顕微鏡ではPI
   制御が用いられている。
   本発表では、原子間力顕微鏡の測定モードの一つであるタッピングモードにおいて、
   ステージ制御系の改善を達成する非線形制御器を提案する。タッピングモードでは、
   カンチレバーを振動させ、試料をタッピングしながら測定するため、試料へのダメー
   ジが少ない測定ができる反面、その数理モデルは衝突を伴った非線形系となる。そこ
   で、システムを不連続外乱を有する線形システムに近似し、不連続外乱を抑制する制
   御系設計を行う。

2. 近年, 医療や産業分野への応用を意識したパワーアシストに関する研究が広くおこな
   われている. 最も素朴なアシスト方法は, 人間の力の瞬時値を計測し, その値に比例
   した力を機械によって発生させて, 人間の運動を補助するものであろう. 規則性のな
   い運動を補助する場合には, この手法を用いざるを得ないが, 周期運動にこれを適用
   した場合, 周期力の脈動を増幅させることになり, 結果的にむらのある運動が実現さ
   れてしまうことがある. このような運動は, 効率の点からも望ましくないと考えられ
   る. 
   本発表では, 周期運動に対して, いかなるパワーアシスト法がエネルギー効率の意味
   で最適となるかを考える. また, これまでに提案しているエネルギー効率最適条件を
   考慮したパワーアシスト法について述べる. そして, 提案手法を電動アシスト自転車
   および船舶のエンジン回転数制御へ応用した結果を示す. 

Last modified: Sun Jun 23 19:55:47 JST 2013