データ圧縮による
ビッグデータの活用
多様なデータが世界中のネットワークを満たしています。 今後はこのデータを有効利用することがきわめて重要であり、人工知能における最重要課題でもあります。 一方で、データの増加速度に対してデバイスやネットワークの速度は頭打ちとなっており、 消費電力の問題もあり、ビッグデータをそのまま処理することは容易ではありません。 この問題に対して、当研究室では、データ圧縮によって巨大データを高速処理できる技術の開発に取り組んでいます。

主宰略歴

坂本比呂志
九州工業大学 大学院情報工学研究院 知能情報工学研究系 教授
学位
博士(理学) 九州大学(平成10年12月)
専門分野
知能情報学、特にデータ圧縮による知的情報処理 (Google ScholarDBLP)
所属学会
人工知能学会、電子情報通信学会、日本データベース学会など

研究プロジェクト

プロジェクト1 <機械学習とプライバシー保護の両立> データ圧縮はデータから特徴を抽出して、無駄を省く作業を行います。その過程で計算される特徴量を使って 圧縮しながら機械学習アルゴリズムを実行することができれば、大量のデータから低コストでAIが実現できます。 また、個人情報を大量に含んだデータから学習するにはデータを暗号化して、暗号化したまま学習することができれば 様々な応用が可能となります。これらのことを同時に実現することを目指して基盤技術を発明しています。 この技術によって、個人の遺伝子情報を暗号化したまま比較することを可能にしました。

プロジェクト2 <劣線形領域圧縮アルゴリズム> ビッグデータと呼ばれている巨大なデータに立ち向かうためには、基礎となるアルゴリズムに対して革新的な変革が迫られています。 データサイズが著しく大きいために、これまでの手法では時間やメモリが足りず、そのデータから有用な知識を取り出すことができないのです。 つまり、大きすぎて全体を見渡すことができないデータは存在しないも同然です。 このような状況に対して、線形時間(領域)、場合によってはそれを下回る劣線形時間(領域)による情報処理が必要です。 当研究室では、この問題に対して「データ圧縮による前処理」という考え方を持ち込み、劣線形領域圧縮という解決策を提案します。 当研究室はJST CREST「ビッグデータ時代に向けた革新的アルゴリズム基盤」へ貢献しています。 このプロジェクトの関連ページはこちら

プロジェクト3 <ストリーム圧縮技術> ビッグデータはしばしばストリームデータと呼ばれます。様々なデータソースから途切れることなく情報が流れ出す様を表した言葉で、 データベースのように静的にディスクやメモリに格納することができません。 このように高速にしかも大量にネットワークを流れるデータに対して、リアルタイム処理を行い、必要な情報を瞬時に取り出したり、 あるいは捨てたりする技術を開発しています。 当研究室では、この問題に対してもデータ圧縮による前処理という考え方で取り組んでおり、 これまでに、筑波大学と共同で開発したアルゴリズムをハードウェア上で実装したり、特許を申請しています。 これらの成果はイノベーションジャパンなどの大学見本市で発表しています。

新着情報

2020.10
情報工学府(大学院)の改組について情報を公開しました。
2020.10
SPIRE2020で交際共同研究として発表しました。
2020.4
情報工学部の副学部長として教育を主に担当することになりました。
2020.3
WALCOM2020で片岡君(M1)がオンライン国際会議で発表しました。
2019.11
勤続20年になったそうです。今後も精進します。
2019.10
WALCOM2020にセキュリティの論文が採択されました。好本君(M2)と片岡君(M1)の研究。
2019.9
SPIRE2019に採択された論文を井先生が発表しました。
2019.8
九工大enPiTのPBLを開始しました。九産大からも参加あり。
2019.7
情報工学部のオープンキャンパスに坂本研として参加しました。
2019.6
準同型暗号に関する特許(特願2019-93908)を兵庫県立大の申先生と共同出願しました。
2019.3
酒井君(M1)がDCC2019で発表しました。
2019.2
NEDOの支援により圧縮アルゴリズムをLSI化しました。
2019.1
酒井君(M1)の論文がDCC2019にfull-paperで採択されました。
2018.12
九工大enPiTのHP(Kyutech ABC)を公開しました。
2018.12
井智弘先生が1/1付で知能の准教授に昇任されます。おめでとうございます。
2018.10
大野君(M2)の論文がJDAに採録されます。
2018.9
ICGI2018のwork in progressセッションで田中さん(M1)が発表しました。
2018.8
筑波大学山際研との共同研究が茨城新聞に掲載されました。
2018.8
ストリーム圧縮技術が大学発ベンチャー表彰2018(科学技術振興理事長賞)を受賞しました。
2018.7
中川君(M2)の論文がSISAP2018に採択されました。
2018.4
大野君(M2)の論文がIWOCA2018に採択されました。
2018.4.12
ストリームデータ圧縮についてUS Patentを取得しました(US Patent No. 9948319)。
2018.4.2
新知能情報工学科がスタートしました。HPはこちら
2018.3.27
加藤CRESTの合宿(別府)を3日間行いました。領域会議なので非公開です。
2018.3.18
STRセミナーで研究室のB4が発表しました。プログラムはこちら
2018.3.16
九工大enPiTコースで最初の修了者(31名)を認定しました。
2018.2.14
九工大飯塚で検索・推論・学習研究集会 (仮題)を開催します。情報は随時更新します。
2017.12
ストリームデータ圧縮について新たな特許を取得しました(特許第6256883号)。
2017.10
MDAI2017で招待講演を行いました(Stream Data Compression and Its Applications)。
2017.9
福永祥平君の論文が電子情報通信学会論文誌(IEICE Transaction)に採録されました。
2017.7
ストリームデータ圧縮について特許を取得しました(特許第6168595号)。
2017.6
高畠さんの論文がESA2017に採択されました。
2017.5
回路とシステムワークショップで招待講演を行いました。
2017.5
大野君(M1)の論文がIWOCA2017に採択されました。
2017.3
enPiT AiBiCの九工大における取り組みとしてKyutech ABCがスタート。
2017.3
髙畠嘉将君が博士論文の審査に合格しました。本学特任助教(enPiT専任)に着任。
2016.10
富士通研究所との共同研究契約を締結しました。
2016.10
Informationに論文が採録されます。山際先生(筑波大)との共著。
2016.9
SISA2016で岩崎君(M2)が発表しました。
2016.8
ICGI2016に論文が採択されました。福永君(M1)が発表します。
2016.4
近似検索可能な圧縮索引がAlgorithmsに掲載されます。
2015.11
ET/IoT Technologyで筑波大学と共同研究で開発した技術が特別賞を受賞しました。
2015.10
井智弘先生が知能情報工学科の新しいスタッフとして着任されました。
2015.9
VLDB2015 workshopでBest paper awardを受賞しました。(筑波大学との共同研究)
2015.9
SPIRE2015でD2の高畠君が発表しました。(travel award付)
2015.8
ストリーム圧縮に関する筑波大学との共同研究の成果をプレスリリースしました。
2014.11
JST CREST「ビッグデータ時代に向けた革新的アルゴリズム基盤」に参加します。